2012.10.13-14 Sat,Sun イベント:創造のバイオトイレづくり3(1、2日目)

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これまで2回にわたり、講演会とフィールドワークを行ってきた「創造のバイオトイレづくり」イベント。いよいよ実践編です。

これは参加者全員に発行している地主承諾の「のぐそ許可証」です。4色用意しました。この許可証を持っていると、 きさらづ里山の会 の活動日やイベントで、誰の目も気にすることなく、自然豊かな指定エリアで野糞を愉しむことができます。

のぐそ許可証を発行したのは世界初ではないでしょうか。もちろん、竹でしっかりつくった仮設トイレも利用できますし、これからバイオトイレも作るので、ユーモア半分ですが(笑)。しかし、のぐそを体験しておくと、山に出かけたときや災害時など、緊急事態に適応できるだけでなく、毎日の食事でいただいた命を自然の中で土に返す、ということを、身を持って感じることができます。

10月13日、バイオトイレづくり1日目は、オリエンテーションではじまります。県外からの参加者や地元の学生さんも参加してくださいました。参加者の自己紹介と活動地内を散策しました。参加者に造林学が専門の先生もいて、生物のことについて詳しく教えていただきました。参加者の方から学ぶことも多いです。

お昼は竹筒でご飯を炊きました。お米は地元でつくられた、もち米や黒米(古代米)が入っています。しゃもじも食器も、地元の竹で手作りしたものです。

晴天の下、みんなで食べる竹筒の炊きたてゴハンはとてもおいしいです。

お腹もいっぱいになり、午後からはバイオトイレの講義です。 株式会社エコセーフティ の古屋さんにバイオトイレカーでお越しいただきました。まずはスクリーンの前で、バイオトイレの仕組みや施工についての法律などを学びました。

バイオトイレをしっかり機能させるには、蒸発と分解が必要だそうです。排泄物をおが粉にまぜ、排泄物の大部分を占める水分を飛ばし、菌が働きやすい温度を保つようにする。攪拌・風通し・熱が保たれれば、自然界にある菌がトイレットペーパーまで分解してくれるので、小と大を分けたり、菌を加えたりする必要はないのだそうです。

今の日本の法律では、下水道が整備されている地域で汚れた下水を下水道に流さなければ、違法になるそうです。下水道が整備されていない地域では、ほとんどが合併浄化槽。キッチンやお風呂などの雑排水とトイレの排泄物をまぜて浄化し、法律の規制値まで汚染度を下げて、河川へ流しています。実は、キッチン、お風呂などの雑排水の汚染度は、ほぼ法律の規制値以下なので、そのまま河川に流しても大丈夫な場合が多いそうです。しかし、トイレの排泄物を混ぜてしまうと、しっかり浄化しないと基準値を超えてしまう。トイレの排泄物をバイオトイレで処理できれば、合併浄化槽とは異なる、また新たな浄化システムが認可される可能性があるそうです。

下水道が普及している地域の水洗トイレは、上水道と下水道のどちらかが止まっただけで使えなくなってしまいます。バイオトイレカーは、東日本大震災のとき、緊急トイレとしても活躍したそうです。また、ただの仮設トイレと比べて匂いが出ないため、たくさん人が集まるイベントの飲食ブース付近に設置しても問題ないそうです。水道が通っていない山だけでなく、都市での利用価値も十分にありそうです。

続いて、バイオトイレカーの見学です。今回お越しいただいたのは、 軽トラック搭載型のバイオトイレ です。このトイレは少し電気を使います。車に搭載したバッテリーの電気を、攪拌、ヒーター、ファンに使います。おが粉はカンナくずだと荒すぎで、あまり細かすぎるのも良くないそうです。

2日前にこのトイレを使ったそうです。ほんの少しだけトイレットペーパーの残骸がある程度で、排泄物もトイレットペーパーも見事に分解されていました。においもまったくありません。すごい威力です。このトイレは1日に20~30回程度使えるそうです。しっかり設計されたバイオトイレの威力に驚かされました。

講義のあとは設計です。まずは制限を設けず、機能・デザインなど、自分が作りたい・使いたいバイオトイレがどんなものかを、絵や文章で書いてもらうことにしました。この日に出たアイデアは、2日目の明日の参加者へと引継ぎ、今回のワークショップで作るものを詳細に設計していきます。

1日目ここで終了です。終了後は、火を囲んでお酒をいただきます。ここでも竹が登場です。

青竹で燗した酒を「かっぽ酒」と言うそうです。ただ熱燗にするだけではないようです。青竹を囲炉裏で熱すると、竹の油がお酒に混ざり、風味豊かなお酒になります。みなさんほろ酔いで話も弾みました。かっぽ酒はいくら飲んでもアルコールが体に残らない、と誰かが言っていましたが、本当でしょうか(笑)。周りを気にせず火を焚ける、里山ならではの愉しみです。

寝袋持参の参加者は、そのまま作業小屋に宿泊しました。

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2日目はあいにくの雨でしたが、地元の学生さんがたくさん参加してくれました。
自己紹介の後、基本的なバイオトイレの仕組みを共有した後、前日と同じように自分が作りたい・使いたいバイオトイレを絵や文章で書いてもらいました。

さすがに若い学生は発想が豊かです。ユニークなアイデアがたくさん出てきました。これから里山の会が目指すバイオトイレの方向性を仮決めし、今回のワークショップで作るものを決めました。今回は建屋までは作らず、バイオトイレの仕組みの部分だけ作ります。自転車を使い、攪拌する仕組みをつくることにしました。作業分担も決めました。インテリアや全体のデザインチーム、トイレ部分の設計図チーム、物品調達チームです。

ここでお昼の時間となり、みんなで昼食づくりをします。
米と箸を作るチーム、火を起こすチーム、味噌汁の野菜を切るチームに分かれて作業をしました。

皆さん慣れない作業ですが、なんとかご飯ができあがりました。デザートに里山の秋ならではの焼きイモ、焼き栗も作りました。

昼休憩が終わり、それぞれのチームに分かれての作業となります。デザインチームは作業を進めましたが、設計図と調達チームは少してこずりました。
たまたま里山に捨てられていた自転車を使おうとしましたが、詳細な機構部分の話になると意見が分かれ、なかなかまとまりませんでした。

結局、攪拌部分の機構をつくるより、棒を使って攪拌するほうが早いのでは?ということになり、攪拌部分はひとまず置いておき、便座と大小を分けるところまでやろうということになりました。その後、使う素材などを決めました。次回から物品調達とモノづくりに入ります。

終わった後、参加者の皆さんから感想を聞きました。
ご飯がおいしかった、自分たちで作って食べるのはおいしい、という感想のほかに、
 「作り方が決まっていて、教えてもらいながら作るのかと思っていたが、自分たちで考えていくのはたのしかった。」
という方がいました。

これこそ、”創造の”バイオトイレづくりワークショップの狙いのひとつでした。
答えのないところから、考えながら創造していく。

答えが準備され、作り方を教えてもらうワークショップは、たしかに効率的で簡単に身につく方法ではありますが、アイデアを出し、壁にぶつかりながら、協力して作り上げていく経験はできません。仲間とのコミュニケーション、震災でモノがないときにどうするか、里山にある資源をどう有効活用するか、など、やってみると愉しく、仲間もできます。失敗しないワークショップではなく、失敗を恐れずにチャレンジするワークショップにしていければと思います。

とはいえ、竹の飯ごう、竹の食器、火おこしなど、学べることもたくさんあります。うまくやるには少しコツがあります。

ワークショップはあと2日ですが、1日だけの参加もOKです。皆さんのご参加をお待ちしています。

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