Monthly Archives: 10月 2012
2012.10.28 Sun 活動日:薪の整理他
僕が里山の会に入った今年の5月から、ずっとモノづくりの活動ばかりでした。今日の活動は「整備」です。毎回が整備だと、なんとなくつまらない印象になりますが、たまに整備だと新鮮です。今まで放置していた作業を拾っていきます。
この日は地元の学生ボランティアさんが5人も来てくれました。おかげさまで作業が一気に進みました。
・下草刈り
・物品整理
以上をやりました。
通常の活動日なので、お昼は各自持参でしたが、焼き芋の差し入れです。
誰が作ってくれたのでしょうか。水場には足場が組まれていました。
今日の整備によって今後の作業がやりやすくなり、効率も上がるでしょう。居心地もいいです。
次回活動日は11月の第二土曜日。これから会としての計画も作っていきます。
2012.10.20-21 Sat,Sun イベント:創造のバイオトイレづくり3(3、4日目)
「創造のバイオトイレづくり」ワークショップの3、4日目です。この2日間は晴天に恵まれました。
ワークショップ3日目です。
前回の物品調達で、介護用シャワーベンチの不用品を利用することにしました。これに便座を取り付けて、大と小を分ける仕組みを作ります。
再度確認をしていく中で、ペール缶を使って攪拌部分も作ってみようということになりました。大体の設置スペースを振り分けて、大チームと小チームに分かれて作業をしました。
大チームは里山の会の方の作業場へ行き、金属加工の道具調達へ。
小チームはホームセンターへ行き、尿の受け部に使えそうな物品を探しに。
小チームのほうは、なかなかいいものが見つかりませんでした。できるだけ尿が溜まらないような仕組みを考えたときに、便器の形というのは非常にうまく設計されていることに気づきました。また、洋式便座の形も様々な体型で使え、足がうまく収まるようにできていることに気づきました。今回は100点を目指さず、ある物で作ってみようとなり、緊急用水タンクを利用することにしました。
あっと言う間にお昼になり、いつものように竹でご飯を炊きます。学生参加者の希望で、今回はバーベキューです。
前回同様、食器は竹を使って手作りします。
ペール缶のかまどで味噌汁とバーベキューを作ります。
ドラム缶の焼き台でもバーベキュー。米も炊きます。
スペアリブが焼けるジューといういい音と、食欲を刺激するいい匂いが里山に漂います。
天気のいい日、バーベキューは王道ですね。自分の竹皿に盛り付けすると、またおいしく感じます。
さて、午後の作業。
小チームはスチールのバケツをくりぬき、
切り開いた水タンクの先に排水ホースを取り付け、
水タンクをバケツに固定します。
水を流してみたところ、まずまずうまく流れています。通常の小便器と同じように、使用後は水をかけて洗浄したほうが良さそうです。
これで尿受け部分は完成です。
さて、代わって大チーム。ペール缶に穴を開けたようですが、なにやら金属の板をディスクグラインダー削り、
軸になる部分に溶接して補強するようです。
日も暮れはじめ、今日の作業はここまで。
夜は人も増え、かっぽ酒に、近隣で採れた差し入れの「バカマツタケ」が振る舞われました。
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ワークショップ4日目も、暑いくらいの良く晴れた日になりました。
いよいよ最終日。ゴールを決めずに進めてきましたが、どこまで出来上がるでしょうか。
大チーム、小チームの共有部、便座を固定する金属をつくることにしました。
便座の型に合わせて、金属の棒を曲げていきます。根元のほうを溶接して便座を支えます。
そして、バケツを支える台を作るため、丸太に排水ホースの溝を削っていきます。チェーンソーを使えばすぐにできてしまう作業ですが、あえて手ノコとノミの手作業で彫っていきます。手作業でどれだけ大変かを知っていれば、電気やエンジンのありがたさもわかります。地味な作業ですが、はじめてノミを使った参加者はコツコツと彫り進めていきました。
一方、大チームは攪拌するためのスクリューの羽根を軸棒に取り付けていきます。
放置自転車の車輪のスポークを切り取り、それを羽根にしようと試みました。
ところが、溶接してみたところ、スポークでは細すぎて折れてしまい、うまく溶接できませんでした。
スポークの代わりに、寸切ボルトを使うことにしました。寸切ボルトを切って、曲げて、溶接。
このくらいの太さなら溶接で折れることはありませんでした。
角度を変えてさらに羽根を取り付けてみると、なんだかうまくかき混ぜることができそうです。
ペール缶にスクリューを取り付け、受け口を空けます。
では、回してみます。
うまく回っていますね。
では、籾殻燻炭を入れて回してみます。
うん、うまく混ざっているようです。
これで大チーム、小チームの単体テストが完了です。あとは部品を結合していくのみ。
ここでお昼休み。4日目ともなると、みなさん手馴れたものです。毎度のように竹でご飯とお味噌汁。
この日はまるで夏のように日差しが強いので、屋根のある板の間で涼みながら昼食です。
できたてのゴハンにビールがおいしい。
ゆっくり昼休みを終えて、午後の作業です。
それぞれのユニットを設置し、結合していきます。最終日の大詰めで、どこまでできるでしょうか。
小チームの丸太の溝が深く彫れました。これで丸太がバケツを支え、溝に排水ホースが収まります。
さあここからラストスパートで結合作業を進めます。
どんどん作業が進み、なんとか完成に漕ぎ着きました。
どーん!あれ?
はい。丸太は使いませんでした。便座を支える金属を作ったので、尿受けはそこに吊るせばいいだろう、ということになりました。
たしかにそんなに溜まらずに流れれば、負荷もかからず支えなしでもいけるでしょう。そうなると、完全に移動式となります。
モバイルバイオトイレという、見た目も名前も里山のイメージとはかけ離れた感じになっちゃいましたが、第一号の試作品としては十分でしょう。
これを素敵な装飾で設置するも良し、また新たに作るも良し。
機能的にはまだ実証できていないので、これから使いながら改良して、機能も見た目も磨いていけば良いのです。
功労者に座ってもらい記念撮影。
バイオトイレの便座ながら肘掛けも付いて、まるで皇室のお方のような気品が漂っていますね。
最後は最終日の参加者全員で記念撮影。若干、シュールな感じもしますが。
9月の伊沢さんの講演会からはじまった「創造のバイオトイレづくり」もこれでひとまず終了です。
里山の自然の中で、ゼロからのモノづくりを体験できました。
多くの方にお越しいただいて、みなさんのおかげで無事にここまで辿り着きました。
厚く御礼申し上げます。
一旦ここで区切りをつけますが、里山のバイオトイレはこれからも進化していくことでしょう。
2012.10.13-14 Sat,Sun イベント:創造のバイオトイレづくり3(1、2日目)
これまで2回にわたり、講演会とフィールドワークを行ってきた「創造のバイオトイレづくり」イベント。いよいよ実践編です。
これは参加者全員に発行している地主承諾の「のぐそ許可証」です。4色用意しました。この許可証を持っていると、 きさらづ里山の会 の活動日やイベントで、誰の目も気にすることなく、自然豊かな指定エリアで野糞を愉しむことができます。
のぐそ許可証を発行したのは世界初ではないでしょうか。もちろん、竹でしっかりつくった仮設トイレも利用できますし、これからバイオトイレも作るので、ユーモア半分ですが(笑)。しかし、のぐそを体験しておくと、山に出かけたときや災害時など、緊急事態に適応できるだけでなく、毎日の食事でいただいた命を自然の中で土に返す、ということを、身を持って感じることができます。
10月13日、バイオトイレづくり1日目は、オリエンテーションではじまります。県外からの参加者や地元の学生さんも参加してくださいました。参加者の自己紹介と活動地内を散策しました。参加者に造林学が専門の先生もいて、生物のことについて詳しく教えていただきました。参加者の方から学ぶことも多いです。
お昼は竹筒でご飯を炊きました。お米は地元でつくられた、もち米や黒米(古代米)が入っています。しゃもじも食器も、地元の竹で手作りしたものです。
晴天の下、みんなで食べる竹筒の炊きたてゴハンはとてもおいしいです。
お腹もいっぱいになり、午後からはバイオトイレの講義です。 株式会社エコセーフティ の古屋さんにバイオトイレカーでお越しいただきました。まずはスクリーンの前で、バイオトイレの仕組みや施工についての法律などを学びました。
バイオトイレをしっかり機能させるには、蒸発と分解が必要だそうです。排泄物をおが粉にまぜ、排泄物の大部分を占める水分を飛ばし、菌が働きやすい温度を保つようにする。攪拌・風通し・熱が保たれれば、自然界にある菌がトイレットペーパーまで分解してくれるので、小と大を分けたり、菌を加えたりする必要はないのだそうです。
今の日本の法律では、下水道が整備されている地域で汚れた下水を下水道に流さなければ、違法になるそうです。下水道が整備されていない地域では、ほとんどが合併浄化槽。キッチンやお風呂などの雑排水とトイレの排泄物をまぜて浄化し、法律の規制値まで汚染度を下げて、河川へ流しています。実は、キッチン、お風呂などの雑排水の汚染度は、ほぼ法律の規制値以下なので、そのまま河川に流しても大丈夫な場合が多いそうです。しかし、トイレの排泄物を混ぜてしまうと、しっかり浄化しないと基準値を超えてしまう。トイレの排泄物をバイオトイレで処理できれば、合併浄化槽とは異なる、また新たな浄化システムが認可される可能性があるそうです。
下水道が普及している地域の水洗トイレは、上水道と下水道のどちらかが止まっただけで使えなくなってしまいます。バイオトイレカーは、東日本大震災のとき、緊急トイレとしても活躍したそうです。また、ただの仮設トイレと比べて匂いが出ないため、たくさん人が集まるイベントの飲食ブース付近に設置しても問題ないそうです。水道が通っていない山だけでなく、都市での利用価値も十分にありそうです。
続いて、バイオトイレカーの見学です。今回お越しいただいたのは、 軽トラック搭載型のバイオトイレ です。このトイレは少し電気を使います。車に搭載したバッテリーの電気を、攪拌、ヒーター、ファンに使います。おが粉はカンナくずだと荒すぎで、あまり細かすぎるのも良くないそうです。
2日前にこのトイレを使ったそうです。ほんの少しだけトイレットペーパーの残骸がある程度で、排泄物もトイレットペーパーも見事に分解されていました。においもまったくありません。すごい威力です。このトイレは1日に20~30回程度使えるそうです。しっかり設計されたバイオトイレの威力に驚かされました。
講義のあとは設計です。まずは制限を設けず、機能・デザインなど、自分が作りたい・使いたいバイオトイレがどんなものかを、絵や文章で書いてもらうことにしました。この日に出たアイデアは、2日目の明日の参加者へと引継ぎ、今回のワークショップで作るものを詳細に設計していきます。
1日目ここで終了です。終了後は、火を囲んでお酒をいただきます。ここでも竹が登場です。
青竹で燗した酒を「かっぽ酒」と言うそうです。ただ熱燗にするだけではないようです。青竹を囲炉裏で熱すると、竹の油がお酒に混ざり、風味豊かなお酒になります。みなさんほろ酔いで話も弾みました。かっぽ酒はいくら飲んでもアルコールが体に残らない、と誰かが言っていましたが、本当でしょうか(笑)。周りを気にせず火を焚ける、里山ならではの愉しみです。
寝袋持参の参加者は、そのまま作業小屋に宿泊しました。
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2日目はあいにくの雨でしたが、地元の学生さんがたくさん参加してくれました。
自己紹介の後、基本的なバイオトイレの仕組みを共有した後、前日と同じように自分が作りたい・使いたいバイオトイレを絵や文章で書いてもらいました。
さすがに若い学生は発想が豊かです。ユニークなアイデアがたくさん出てきました。これから里山の会が目指すバイオトイレの方向性を仮決めし、今回のワークショップで作るものを決めました。今回は建屋までは作らず、バイオトイレの仕組みの部分だけ作ります。自転車を使い、攪拌する仕組みをつくることにしました。作業分担も決めました。インテリアや全体のデザインチーム、トイレ部分の設計図チーム、物品調達チームです。
ここでお昼の時間となり、みんなで昼食づくりをします。
米と箸を作るチーム、火を起こすチーム、味噌汁の野菜を切るチームに分かれて作業をしました。
皆さん慣れない作業ですが、なんとかご飯ができあがりました。デザートに里山の秋ならではの焼きイモ、焼き栗も作りました。
昼休憩が終わり、それぞれのチームに分かれての作業となります。デザインチームは作業を進めましたが、設計図と調達チームは少してこずりました。
たまたま里山に捨てられていた自転車を使おうとしましたが、詳細な機構部分の話になると意見が分かれ、なかなかまとまりませんでした。
結局、攪拌部分の機構をつくるより、棒を使って攪拌するほうが早いのでは?ということになり、攪拌部分はひとまず置いておき、便座と大小を分けるところまでやろうということになりました。その後、使う素材などを決めました。次回から物品調達とモノづくりに入ります。
終わった後、参加者の皆さんから感想を聞きました。
ご飯がおいしかった、自分たちで作って食べるのはおいしい、という感想のほかに、
「作り方が決まっていて、教えてもらいながら作るのかと思っていたが、自分たちで考えていくのはたのしかった。」
という方がいました。
これこそ、”創造の”バイオトイレづくりワークショップの狙いのひとつでした。
答えのないところから、考えながら創造していく。
答えが準備され、作り方を教えてもらうワークショップは、たしかに効率的で簡単に身につく方法ではありますが、アイデアを出し、壁にぶつかりながら、協力して作り上げていく経験はできません。仲間とのコミュニケーション、震災でモノがないときにどうするか、里山にある資源をどう有効活用するか、など、やってみると愉しく、仲間もできます。失敗しないワークショップではなく、失敗を恐れずにチャレンジするワークショップにしていければと思います。
とはいえ、竹の飯ごう、竹の食器、火おこしなど、学べることもたくさんあります。うまくやるには少しコツがあります。
ワークショップはあと2日ですが、1日だけの参加もOKです。皆さんのご参加をお待ちしています。